暮らしノート KURASHINOTES
日本の暮らし

停電時の室内照明とスマートフォン充電:在宅避難を安全に続ける手順

停電時に火を使わず室内を照らし、スマートフォンの電池を安否確認と避難情報のために残す、在宅避難の安全手順。

9 件の出典 5 点のビジュアル
停電時の室内照明とスマートフォン充電:在宅避難を安全に続ける手順

停電の夜に必要なのは、部屋全体を普段どおり明るくすることではありません。転倒せずにトイレへ行けること、避難情報を受け取れること、家族へ短く安否を伝えられること、危険な兆候を見逃さないことです。照明とスマートフォンの電池を同じ「残り時間」として管理すると、在宅避難の優先順位が見えます。

停電した室内で安全な照明と連絡手段を整える家族

まず在宅避難を続けられるか判断する

照明や充電を始める前に、建物、火災、浸水、土砂災害、暑さ、寒さ、家族の体調を見ます。焦げたにおい、煙、ガス臭、壁や天井の大きな損傷、床上浸水、近くの斜面や河川の異変があれば、電池を温存する工夫より退避を優先します。内閣府の台風・豪雨時の防災情報と自治体の避難情報を確認し、避難指示が出た地域では在宅避難に固執しません。

夜間の移動そのものが危険なら、無理に分電盤や物置へ行きません。安全な一室に集まり、靴、懐中電灯、笛、常用薬、飲料水、上着を手の届く範囲へ置きます。消防庁の防災マニュアルも参照し、地域と住宅の条件に合う行動を優先してください。

状況最初の行動続けないこと
煙、炎、ガス臭、強い焦げ臭屋外の安全な場所へ退避し通報原因探し、充電、荷物集め
浸水、濡れた床、濡れた配線電気設備に触れず上階や避難先へプラグ抜き、分電盤操作
建物は安全で短時間の停電一室へ集まり時刻を記録各部屋を明るくする
暑さや医療機器停止が深刻涼しい避難先と支援へ連絡我慢して在宅を続ける

最初の十分で一室・一灯・一台に絞る

停電開始時刻を紙に書き、家族は段差と出口に近い一室へ集まります。主照明は乾電池式のランタンか懐中電灯一つ、連絡端末は残量が最も多いスマートフォン一台に絞ります。別の端末は電源を切り、予備として残します。照明を壁や白い天井へ向けると、直視するより弱い光を広げられます。布、紙、寝具をかぶせて光を拡散してはいけません。発熱と着火の原因になります。

ろうそく、油ランプ、卓上こんろの炎を照明代わりに使いません。停電中は足元が見えにくく、余震や接触で倒れても発見が遅れます。火を使わない照明が一つもない場合、暗い室内を歩き回るより、安全な場所で救援を求めます。

一室に集めた乾電池式照明と避難用品

光を三つの役割に分ける

照明は「常時灯」「移動灯」「合図灯」に分けます。常時灯は家族が集まる場所を弱く照らし、移動灯はトイレや出口へ移る時だけ点灯します。合図灯は救援を求める時の予備で、普段は消します。一台しかなければ常時点灯せず、必要な行動を声に出して確認してから点けます。

役割置き場所使う時節電の境界
常時灯集合場所の低い安定面会話、服薬、見守り読書や片づけには使わない
移動灯靴と一緒に手元段差、階段、トイレ一人ずつ持ち出さない
合図灯出口近くの防災袋通報、救助者への合図装飾や不安解消で点けない

懐中電灯を床へ置く時は転がらないよう安定させ、乳幼児が電池室を開けられない位置にします。乾電池は新旧、種類、銘柄を混ぜず、液漏れ、さび、変形があれば使いません。機器の取扱説明書が指定する電池だけを使います。充電式照明も、充電中に寝具の中や無人の部屋へ置きません。

スマートフォンを連絡専用へ切り替える

残量を紙に記録し、画面を暗くし、省電力機能を有効にします。不要な動画、位置情報の常時利用、自動更新、近距離無線、画面の常時点灯を止めます。ただし、自治体の防災通知、緊急速報、家族との連絡に必要な通信まで一律に切らないでください。圏外で電波を探し続ける場所では、決めた確認時刻以外は機内モードにし、確認時だけ戻す方法があります。

通信が混雑したら、何度も長電話をかけ直しません。総務省の災害用伝言サービスには災害用伝言ダイヤルと災害用伝言板の案内があります。平時に家族で確認先と集合場所を決め、停電時は「無事、場所、次の確認時刻、必要な支援」の四点だけを短く残します。公開の交流サービスへ住所、留守情報、身分証の画像を載せません。

紙の連絡計画と省電力にしたスマートフォン

充電は容量ではなく行動回数で配分する

モバイルバッテリーの表示容量から、スマートフォンを何回満充電できるかを正確に決めることはできません。変換損失、温度、ケーブル、端末の状態、電池の劣化で変わるためです。「百パーセントに戻す」より、「次の情報確認と連絡ができる残量まで補う」と考えます。

たとえば残量が二十パーセントで、家族への連絡、自治体情報の確認、翌朝の移動に必要なら、四十パーセントまで補っていったん外します。残りは次の確認枠へ回します。この数値は安全を保証する基準ではなく、家庭で決める配分例です。通話、通信、画面点灯に必要な量は電波状況と機種で変わります。

残量と状況判断の目安次の確認
十分な残量、連絡済み充電せず待機二時間後など決めた時刻
残量が少なく避難情報が必要短時間だけ補充発熱と残容量
医療、支援、避難連絡に使用その用途を最優先支援先、代替電源
娯楽や長い動画視聴中止紙の情報へ切り替え

電池に異常があれば緊急時でも使わない

膨張、変形、割れ、液漏れ、水濡れ、異臭、異音、煙、異常な発熱、強い衝撃を受けた跡があるモバイルバッテリーやスマートフォンは、充電も使用も中止します。製品評価技術基盤機構のリチウムイオン電池事故の注意は、高温や衝撃を避け、異常を感じたら使用を止めるよう案内しています。消費者庁のモバイルバッテリーに関する注意も確認してください。

異常な電池を押す、穴を開ける、分解する、冷蔵庫へ入れる、密閉容器へ閉じ込めることはしません。煙や発火があれば人を離し、安全な場所から通報します。消火方法は製品と状況で異なるため、危険な場所へ戻って自己流で対処しません。処分は一般ごみに混ぜず、自治体や製造事業者の回収案内に従います。

充電中は硬く安定した不燃性の場所に置き、寝具、紙、衣類、直射日光、暖房器具から離します。眠っている間や避難で留守にする間は充電しません。端子が合わないケーブルを無理に挿さず、製造事業者が指定する組み合わせと使用温度を守ります。

膨張や水濡れのある電池を使用せず隔離する判断

車と発電機は室外なら何でもよいわけではない

携帯発電機を室内、車庫、物置、ベランダ、窓や換気口の近くで動かしません。一酸化炭素は見えず、においだけでは気づけません。窓を開けた室内でも安全にはなりません。製品評価技術基盤機構の自然災害時の製品事故情報は、停電時の一酸化炭素中毒に注意を促しています。設置距離、排気方向、雨対策、接続方法は製品説明書と消防・自治体の案内に従い、条件を満たせなければ使いません。

車内での長時間充電も、浸水、道路状況、排気、熱中症、燃料不足を伴います。密閉した車庫でエンジンをかけず、冠水した道路へ充電のために移動しません。車から住宅配線へ自己流で給電せず、対応機器と資格が必要な接続は専門事業者に任せます。

復旧したら一斉に差し込まない

地域の停電状況は、その地域の送配電事業者で確認します。東京電力管内では停電・復旧情報を確認できます。復旧予定は変わるため、表示だけで屋内配線の安全まで確認できたとは考えません。中部電力パワーグリッドの停電・災害時の対処法のように、各地域の公式案内と自宅設備の説明書を使います。

浸水、雨漏り、濡れたコンセント、焦げ、変色、異音、火花があれば触りません。濡れた手や床で分電盤を操作せず、管理会社、送配電事業者、電気工事事業者へ相談します。安全が確認できた場合も、大きな負荷を一度に戻さず、必要な照明、通信、冷蔵庫などを順に確認します。たこ足配線や定格を超える延長コードで急場をしのぎません。

復旧後に機器を一つずつ確認する安全な室内

暑さ、薬、乳幼児、高齢者を先に見る

停電で冷房が止まると、電池の節約より体温管理が優先になることがあります。環境省の熱中症予防情報と自治体の開設情報を確認し、水分が取れない、反応が鈍い、強い頭痛や吐き気があるなどの異変では医療相談や救急要請をためらいません。暗い高温室で充電を続けず、涼しい避難先へ移ります。

電源が必要な医療機器は、一般的なモバイルバッテリーへ自己流で接続しません。機器の取扱説明書、医療機関、供給事業者、自治体の個別避難計画に従います。乳幼児の調乳、常用薬、見守り、補聴器など、電気以外の必要物も同じ表に書き出します。水は防災用の水ストック確認、断水時の衛生は災害用トイレの備蓄手順で平時に見直します。

家庭用の停電記録を一枚にする

紙に「停電開始」「建物の安全」「照明の電池」「端末残量」「連絡済み」「次の確認時刻」「避難の条件」を書きます。端末にだけ記録すると、その記録を見るために電池を使います。個人番号、口座、細かな病名などは共有表へ書かず、必要な情報だけにします。

  • 停電開始と復旧の時刻を記録した。
  • ろうそくや裸火を照明に使っていない。
  • 出口、段差、靴、常用薬を一室に集めた。
  • 連絡端末を一台に絞り、次の確認時刻を決めた。
  • 膨張、破損、水濡れ、発熱のある電池を使っていない。
  • 発電機を屋内や開口部の近くで使っていない。
  • 浸水や濡れた電気設備に触れていない。
  • 避難情報、体調、建物の変化を照明や充電より優先している。

冷蔵庫の扱いは停電前後の食品安全手順と分けて考えます。冷蔵庫を確認するために何度も台所へ行くと、照明と体力を使い、扉から冷気も逃がします。必要な行動を一度にまとめてください。

続ける、切り替える、避難する

判断条件行動
在宅避難を続ける建物が安全、体調安定、情報と水がある一室・一灯・一台を維持
使い方を切り替える電池低下、通信混雑、暑さ上昇確認間隔を広げ、伝言サービスや紙へ移す
充電を中止する発熱、膨張、異臭、水濡れ、破損人を離し、公式の相談先へ連絡
避難する火災、ガス、浸水、建物損傷、重い体調変化、避難指示荷物より命を優先して退避

停電対策の成功は、最後まで明るく過ごすことでも、端末を満充電に保つことでもありません。必要な時にだけ光と通信を使い、危険が増えたら在宅避難をやめられることです。火を使わない、傷んだ電池を使わない、排気を室内へ入れない、濡れた電気設備に触れないという境界を守り、人の安全を最優先にしてください。

あわせて読みたい